遺言書の効力その八

遺言執行者は専門家に頼みましょう!

遺言の内容を実現する責任者が遺言執行者です。遺言執行者は相続人の代理人であることが民法で規定されています。遺言の内容どおりに実現されるかは遺言執行者次第ということになります。行政書士などの法律専門家に相談せずに公証役場で公正証書遺言を作成した場合、ほとんどの遺言執行者は相続人の一人または受遺者となっています。
相続人の一人または受遺者が遺言執行者となることにより、遺言執行者に支払う報酬が必要ないのがほとんどでしょう。しかし反対に、短所(デメリット)・危険がいくつかあります。

相続財産の目録作成や遺言執行完了報告などがなされない場合が多いようです。つまり、不公正な遺言執行になりがちです。
遺言執行者が自分の相続分だけ執行し、他の相続人分を渡そうとしなかったり、遅延させることがあります。結果として、遺言執行者でもある相続人に独り占めされてします危険があるのです。
反対に、ある相続人(遺言執行者)が全て相続するなどの、偏った遺言内容の場合、他の相続人から猛烈な批判が出て、矢面に立たされることになります。その結果として、遺言執行ができず、遺産分割に応じることにもなり、何のための遺言だったのかとなってしまうこともあるようです。

一方、遺言執行者を行政書士その他の法律専門家に依頼すると、執行報酬が発生します。この報酬の相場は、30万円から遺産額の3%などとまちまちです。この金額が高いか安いかは判断が分かれるところでしょう。相続人の一人または受遺者を遺言執行者にすれば、報酬など要らないのに、法律専門家に依頼して、特段難しくなかったのに数十万円から数百万円を支払うではバカらしい気がします。あとは、遺言者と予定相続人(受遺者を含む)の考え方次第です。トラブルとなりそうであったり、相続人等の精神的負担を軽くしたかったり、公正な遺言執行の実現を望むのなら、多少の報酬を払ってでも法律専門家に遺言執行者を頼んだほうが良いような気がします。そもそも遺言執行報酬は、相続財産の中から支払うべきものなので、相続人(受遺者)の経済的負担には原則ならないはずだからです。

遺 言 書

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金その他一切の財産を、平成5年5月から同居している内縁の妻麻生美紀(昭和33年3月3日生、本籍:福岡市中央区天神1丁目1番地)に包括遺贈する。

第2条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、下記の者を指定する。
 福岡県久留米市中央町3番地9 行政書士 田中一郎(昭和55年5月5日生)

 2 遺言執行者は、遺言者名義の預貯金債権の解約、名義変更、払戻しその他、この遺言執行のために必要な一切の権限を有する。

 3 遺言執行者に対する報酬は、金30万円とする。

 平成22年12月12日

住所 福岡県久留米市中央町38番地23
    遺言者  宮崎 信幸  


注:上記の遺言文例は、公正証書遺言作成のための下書きです。実際に公証役場で作成依頼をされる際は、遺言内容を記載したメモと公証役場から指示のあった公的書類(印鑑証明書、固定資産評価証明書、戸籍謄本、本籍記載の住民票等)を持参してください。