遺言書の効力その七

遺留分の対策を入れましょう!

遺言者(被相続人)の兄弟姉妹(甥姪を含む)を除く法定相続人には、遺留分(法律で認められた最低限の相続分)があります。一方で、遺留分に反する遺言も作成できます。また、遺留分権利者が遺留分を主張するしないは自由です。相続開始後遺留分があることを知ってから1年間、相続開始後10年間、その権利を主張しなければ、時効で権利がなくなってしまいます。ただし、権利を主張されれば、遺留分権利者が強い訳ですから、遺留分相当額以上を相続させる旨の遺言内容にしておくのが良いのかも知れません。そうしないのなら、遺言の中に前もって遺留分の対策を入れておく必要があります。その対策の主なものとして、次の3つが考えられます。

(1)相続人の中に、生前贈与を受けたなどの特別受益者がいる場合は、その金額時期などを遺言の中に記載し、相続分がないことを入れておく。遺留分を計算する際は、特別受益を持ち戻して全財産の中に入れて、計算し直すからです。

第○条 長女田中美紀に対しては、その居住する福岡市南区井尻の分譲マンションを平成5年5月購入する際、金1000万円程の贈与をしているので、相続分はないものとする。

(2)特別受益がある訳ではないが、特定の相続人(例えば妻)にだけに相続させたいという場合は、その理由を付言に記載しておく。

「付言」長男一郎と長女美紀に説明とお願いをしておきます。今回の遺言で財産を全てあなたたちのお母さんに相続させることにしたのは、お母さんが長生きしても経済的に心配しないで済むようにと考えたからです。あなたたち二人にはこれまでできるだけの援助はしてきたつもりです。何れは、二人の物になるはずですから、理解して頂けるものと信じています。くれぐれもお母さんをよろしくお願いしておきます。

(3)遺留分のない兄弟姉妹であっても、財産分与を請求してくる欲深い者がいます。その対策として、遺言の付言の中に、遺留分がないことなどを記載しておく。

遺 言 書

第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産その他一切の財産を、妻宮崎美紀(昭和33年3月3日生)に相続させる。

「付言」この遺言書があれば、私の亡き後、私の遺産をあなたに名義変更するために私の兄弟姉妹等の協力は必要ありません。また、私の兄弟姉妹には遺留分がないので、遺産全てをあなたが相続できるので安心してください。

 平成22年12月12日

住所 福岡県久留米市中央町38番地23
    遺言者  宮崎 信幸  

注:上記の遺言文例は、公正証書遺言作成のための下書きです。実際に公証役場で作成依頼をされる際は、遺言内容を記載したメモと公証役場から指示のあった公的書類(印鑑証明書、固定資産評価証明書、戸籍謄本等)を持参してください。