遺言書の効力その弐

公証役場へ先に行かないで!

ちょっと気の利いた人や物知りの人がよく、「公正証書遺言を作るのなら公証役場に行けばよい」と言います。実際に、近くの公証役場に電話すれば、公証人が電話口に出て、親切丁寧に対応してくれます。また、公証役場に相談に出向くと、じっくりと話を聞いてくれます。このような対応をしてくれる役所は外にないでしょう。公証役場という名を使っていますが、実際は公証人の個人事務所です。公証人には公務員という身分もあるというだけです。公証人の手数料も「公証人手数料令」という法令で決めてあります。何故なら、公的な独占企業だからです。この手数料は公証人個人の収入・報酬です。これを国への税金と勘違いしている国民も多いようです。

でも当然といえば当然です。自分へ報酬を払ってくれるお客様が来ているのなら、親切にするのは当然です。だれだってそうするでしょう。一方、一般の役所の公務員は窓口に行ってもあまり親切ではありません。窓口応対より、自分のデスクワークを処理した方が楽だからでしょう。

そこで、いつも疑問に思うことがあります。遺言作成について、最初から公証人と直接相談することにより、本当に遺言者にとって有利な遺言内容になるのだろうか、と。確かに公証人は、遺言者の話をじっくり聞いて、遺言者の希望に沿った公正証書遺言を作ってくれます。でも公証人は、遺言内容が実現されるかどうかについては関知しません、立場上できません。どうすれば確実に遺言内容が実現できるか、どうすれば、遺言の書き直しが必要でなくなるかなどについては、公証人自ら提案することはありません。公務員という身分もある公証人である以上、特定の相続人や受遺者が有利になるような遺言作成に積極的には関与できないからでしょう。公証人は、遺言作成の専門家であって、遺言作成相談の専門家ではないはずです。

一方、行政書士などの遺言作成相談の専門家は、遺言者(相談者)の希望に沿った内容になるよう、遺言文案を考えます。そして、遺言内容どおりに実現できるよう、公正証書遺言を作ってもらいます。だから、「公証役場に先に行かないで」です。遺言作成相談の専門家に相談した後、公証役場に行くべきです。余分な費用(相談料)が掛かりますが、遺言内容が実現できなかったり、作り直しが必要な場合を考えると、相談料など安いものです。

そこで無理に行政書士などの専門家に相談することはありませんが、せめて当サイトと、関連サイト「遺言書の書き方と文例」「公正証書作成ガイド」をじっくり読んで公証役場に出掛けましょう。