遺言書の効力その壱

遺言は公正証書で作成しましょう!

よく利用される遺言の方式として、自筆遺言(自筆証書遺言)と公正証書遺言(遺言公正証書)があります。集計がある訳ではありませんが、公正証書遺言より自筆遺言がより多く作られているのかも知れません。

自筆遺言と公正証書遺言、それぞれに長所と短所があります。

自筆遺言の長所は、お金がほとんど掛からないということでしょう。よって、いつでもどこでも気楽に書けます。短所は、紛失や改ざん(勝手に内容を書き換えること)、隠匿(隠すこと)の可能性があることです。そして、検認の手続きが必要であることです。この検認について、家庭裁判所に持って行けば、「検認済」というゴム印でも押してくれるぐらいに、簡単なことだと考えている人が多いようです。検認の申立書を家庭裁判所に提出するには、遺言者である被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、各相続人の戸籍謄本が必要です。他の相続人の戸籍謄本を本人以外が取得することは容易ではありません。ここで予想していなかった壁にぶつかります。この壁は、行政書士などの法律専門家に戸籍の取り寄せを依頼することにより乗り越えることが一応できます。しかし、もう一つ大きな壁があります。家庭裁判所での検認の際、他の相続人が、筆跡が違う、他人が書いたものだ、という主張があれば、その旨が検認調書に記載され、不動産の移転登記がすんなりとはできなくなる可能性があります。これだけのリスク(危険)を承知で、自筆遺言を作りたいのであれば、仕方ありません。遺言がまったくないより、ましかも知れないからです。

一方、公正証書遺言の短所は、費用が掛かるということです。公証役場の手数料は当然として、作成相談を行政書士等にし、証人も頼むのであれば、別に5万円以上は必要です。また、公正証書は公証役場でしか作成できないので、いつでも気楽に作成という訳には行きません。反対に長所は、検認の手続が必要ないので、不動産の移転登記や預貯金の払戻しなどの遺言執行がスピーディにできることです。当然、公正証書遺言は紛失や改ざん、隠匿の可能性がほとんどありません。何故なら、公証役場で原本は保管するからです。できれば、公正証書の存在を、エンディングノートに記載しておくべきでしょう。

最後に、公正証書遺言についての勘違いを説明しておきます。「公正証書遺言にしておくと、遺産争いは起きない」「公正証書遺言にしておくと、遺言の内容の通り実現される」「一度公正証書遺言を作ると、書き直す必要がなく安心だ」。これらは必ずしも正しいとは限りません。残念ながら、完璧な遺言など存在しないと私は考えています。相続人が二人以上いれば、立派な公正証書遺言があっても相続争いになる可能性は有ります。その争いを少しでも少なくする工夫や対策の一つが、当サイトで紹介している「遺言書の効力」です。